2011年12月23日金曜日

「働く君に贈る25の言葉」を読んで

働く君に贈る25の言葉
働く君に贈る25の言葉

人生でこんな苦労している人がいるのかと考えさせられてしまう1冊。そんな佐々木さんが書いた1冊だから重みがある。重厚感がある。読み応えがある。
ワークライフバランスの祖とされる佐々木常夫さんが若者に贈る1冊である。

■「目の前の仕事」に真剣になりなさい。
・仕事を甘く見ていた。自分の事務処理能力を過信していた。凡ミスを連発した。だからしょちゅう上司に怒られたものである。
「こうすればもっと効率的にできるのではないか」「こうすればもっと質の高い仕事ができるのではないか」と私なりに工夫するようになる。
・目の前の仕事を一生懸命やる。
・どうゆう経緯であってもその会社に入ることを決めたのは君自身である。それを運命だと思って目の前の仕事に真剣に取り組む
この言葉はぐグサット胸にささる言葉である。「この会社を選んだのは君だ」そう言われたらおしまいである。運命を素直に引き受ける。

■「思い込み」は君を間違った方向に連れていく
上司が何を求めているのかきちんと把握する。たぶんこういううことだろうと決めつけるのはダメ。
①仕事をやる前に聞く、②仕事の途中で聞く、これを実行するだけで多くの無駄を減らすことができる。
決めつけをしない。頭の中で反芻させる。事実を明らかにするなどが大切。

■よい習慣は才能を超える
・いい仕事はしたければ一歩先の行動をとること。
早く起きること:はじめはしんどいかもしれないが、慣れればどうってことはない。目覚めると体操をするベランダに出てゆったりとした気分で体を動かす。
余裕を持って行動する:電車や飛行機が時間通りに運行するとは限らない。余裕を持ってお客様と商談する。一歩先の行動によってさまざまなリスクを回避できると同時に多くのメリットを得ることができる。
・君がライバルに勝つためにはよい習慣を身につけることが大切である。
一歩先の行動の大切さを説いている。先手必勝と自助努力とは良くいったものでとくにかく先まわって抑える努力が大切である。

■逆風の職場こそ君を鍛えてくれる
・仕事はやって見なければ分からない。とにかく、目の前にある仕事を運命だと引き受けて、力を尽くせば必ずそれなりに道が託される。日陰と思うような部署を歩んだ方が強くなれる。
本流からちょっと外れた道をゆくぐらいがちょうどよい。
・皆が君のことをじっと見ている。あいつはがんばっている、あいつは根性があると認める人が必ず現れる。
・何より「真摯であること」が大切。責任を持って誠実に遂行する。仕事でミスをしたら関係する人にきちんと謝る。そうした真摯な行動をとることが周囲の人との信頼関係を築き上げる最短の道。
プライベートな人間としての良質なコミュニケーションをとることも大切。会社では仕事をし、その結果を出すことが求められている。映画やスポーツ、旅行など個人的な趣味を持ち、そうした時間を大切にしたいと思っている。
・君がその人に対して人間的な関心を抱き、じっくり耳を傾ける姿勢を示す。
逆風で働く若者へのエールがつづられている。同期の配属先と自分のこれまでのキャリアを振り返り何が大切なのかを書きつづっている。

■信頼こそ最大の援軍
・職場の人とプライベートをともに過ごすことはとても良いこと。なにしろ、
仕事を効率化したければ、同僚との信頼関係を築くこと。
君は信頼関係を築いていない上司にトラブル案件の報告ができるか?
相手から信頼されているとう感覚が大きな力になる。


■プアなイノベーションより優れたイミテーションを
・仕事のやり方を身につければ、少しぐらいの能力の差は克服することができる。
・尊敬される人がいる。その人の行動に注目する。その人が何時に出社するのか、どんな話し方をするのか、どんな風に電話をしているのか?そこに注目する。
優れた仕事をしてる先輩のやり方をとことんまねる。凡を極めて非凡になる。
仕事は同じことの繰り返しだからこそ、イミテーションが大切。真似を徹底する。とにかくひとつひとつ続けること。

【まとめ&感想】
佐々木さんは極めて日本人的である。人としての温かみがある。どうやればうまくいくのか日本人の目線で語りかけてくれる。ただの仕事のスペシャリストではなく、家庭面との両立、人としての幅の広さが感じられる。佐々木さんの愛読書であり、本書とのタイトルの良く似る一冊を以下に。
ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 新潮文庫

2011年11月17日木曜日

「20代で身につけたい 営業の基本」を読んで

20代で身につけたい 営業の基本
20代で身につけたい 営業の基本

 営業担当になった若手がぜひ読んでおきたい1冊。
理科系で院卒の私はまさか営業をすることになるとは思ってもみなかった。なんでこんなことになったのかは知ったことはありませんが、とにかくがんばって結果をださなければならないのです。そんな僕が手に取った営業本。
それでは帯にひかれて買ってしまったこの1冊の要約・抜粋と感想を以下に。

■話を聞いている姿勢をアピールする
・話を真剣に聞いていたことをアピールするには相手の話を要約することが大切である。
「お客様が抱えている課題は3つですね。ひとつは・・・~」のような要領。
・ノートや手帳にメモを取る姿勢も大切。しっかり聞いていることをアピールできる。
話を聞いてくれてるって感覚はとても大切だろう。真剣さが伝わっているかどうか?

■お客様に「認知」されなければ始まらない
AIDMAの法則が重要。
できるだけ多くのアポどりの電話を掛ける、会社を飛び込みで訪問する、いろいろな機会に名刺を配る、インターネットで情報発信するなど様々な手段を駆使する。
・あくまでもあいさつが基本。顔を覚えてもらい、信頼関係を構築する。
「人は会えば会うほど好意を持つ」。既存顧客であっても定期的にアフターフォローする。
回数がものをいう経験を述べている。とにかく何回でも出現することが大切なのだ。覚えてもらう。認知してもらう。好きになってもらう。

■商品の差別化は自分の差別化ではなく自分の差別化をする
・商品・サービスがどんなによくても、信頼関係ができていなければ売れない。反対に信頼関係ができていなければ売れない。
・会社が見えなくなるまで気を抜いてはならない。
・会社によっては受け付けに営業マンの印象を尋ねる。
顧客との信頼関係1回や2回の電話では分からない。実際に会ってみなければわからない。またお前か!となるぐらいが大切。

■量が質に転化すると信じる
商品やタイミングが合わなかっただけと考える。
・イチローでも10回の打席で6回以上も凡退している。
・数多くの経験から直観をつかむ。
とくにかく数をこなしてこなしてこなしまくれ。そんなメッセージが伝わってくる。今の自分にはこの言葉はこころに響くな・・・。

■駅や空港で企業の広告をチェックする
広告をだすにはそれなりの資金が必要になる。
・基本的には広告を出している会社は元気のある証と感がることができる。自分がターゲットとしている会社と同業種であれば必ずチェックしておく。元気のある会社ならばビジネスの拡大や取引にも積極的になってもらえる。
・訪問する予定だった会社は、地元のほとんどの人が知っている会社である。
「そういえば、空港に○○社の広告がありましたね」と聞けば「実はね・・・」なんてことも。
地元に行くときは地元ネタやその土地の人にしかわからない情報が大切である。

■日本全国の名産品を覚えておく
・お客様と信頼関係を築くこと、場をなごませることが大切になる。
「この人は悪い人ではなさそうだ。」とか「この人とは気が合いそうだ」という感覚が大切。
・ポイントは相手の興味の引く話題を提供できるか?
・共通点を探るネタを知っていたり、出身地や住んだ経験のある場所が一番便利。
・名刺交換の際に「こちらでのお住まいは長いんですか?」と聞いてみる。その土地について何か知っていれば盛り上がる。
出身地トークは盛り上がる。とにかくきっかけが大切なんだ。地縁とか血縁とか”縁”とかっては人は敏感だ。

■アポどりは午前中がゴールデンタイム
・お客様の時間帯を考慮したうえで電話をかけるのがマナー。
・「とりあえずあってくれませんか?」という営業マンに会ってくれるほど暇はない。
・13日~15日の午後であれば、いずれのご都合がよろしいでしょうか?」という質問方法で聞く。
・全部ダメとはいいずらいし、相手に決定権を与えるので答えやすくなる。
電話セールスをやっている身からしてこの言葉は身に染みる。相手の気持ちを考える。相手に選択権を与える。

■目先ではなく中長期の質問をする
・モノを売りつけられるのではないのかという警戒心を持っている。「今」のニーズを尋ねる質問お信頼関係のできない段階ですると、お客様から好かれない。
・すぐに売りつけられるのではないかという警戒心を振り払う。
「もしも~」のかたちで聞くという方法もある。「もし新製品を開発するとしたらどんな製品に興味がある?」
相手の未来に焦点を合わせる。夢のある話をする。これが営業マンの魅力だろう。

■社内営業ができる人は営業成績がよい
定期的な情報交換会を開く。飲みケーションで交流を図る。ある意味社内営業の部類に入る。
・〇〇部の○○さんに聞いてみればわかるとか、そんな感じ。周りを巻き込んで力にする。
・社内の人間に対しても営業の視点を持つことが大切だ。
この部分はよくわかる。先輩からよく指摘される点だ。

【まとめ&感想】
営業マンにしかわからないエッセンスを学ぶことができた。帯のサラリーマン金太郎の絵に「俺の背中から営業を盗みやがれ!」には度肝を抜かれた。相当体育会系の人なんだなあと想像できた。

2011年10月22日土曜日

「仕事が速い人のすごい習慣&仕事術」を読んで

仕事が速い人のすごい習慣&仕事術 (PHP文庫)
仕事が速い人のすごい習慣&仕事術 (PHP文庫)

見たことも聞いたこともない著者だったが、なかなかいい本だった。当たり前だけど大切にしたい習慣・考え方がトピックごとに述べられていた。
経歴を見ると、MBA。KPMG、プライスフォーターハウス、起業とすごいキャリアの人だ。本人いわく、学生時代まではほんとにダメな人間だったと言っている。たしかにそういう人の方が説得力はある。
参考になった部分と感想を以下に。

■朝に勝つ
・朝に勝っている人は、寝る際に翌朝勝てなかったことに対する危機感を持っている。
・目覚めと同時にその危機感が蘇ってきて自身の生活や行動に対する責任感へと転換する。
とにかく朝から徹底して動く人は強い。確かに朝からバリバリ勉強している人は仕事もできる。朝眠たいまま電車にゆられてもテンションは低いままである。グット早起きして一気に活動するのがベスト。朝のスタートダッシュには確かに眠気は大きな障壁になる。

■気配りを徹底する
・どんな人に対しても気配りを徹底すれば、みんながあなたのことを好きになる。それを続ければ好きを通り越してファンになる。
営業している自分を売る。顧客から好かれるかがとても重要。
相手を思いやるこころが営業の基本だろう。

■すべてに期日をつける
「夢に日付を付けよう」とは、ワタミの社長の言葉。ひとつひとつやるべきことに期日をつけて実行していなかければ、当然目標は達成できない。
夢を達成するためには、そのためにやらなければいけないこと日付を入れていくことと同じ。
期日がなければなあなあになってしまう。それはみんな同じことだろう。みんなに宣言するのも一つの手だろう。

■目標に早く近づく強い決意と深い祈り
・渋沢栄一は、今日一日で人生が終わると考えて生きてきてた。
・その目標に対する強い決意と深い祈り、あなたの言動を大きく変える。やることの一つ一つに対して真剣になる。
・日産のカルロス・ゴーン氏の言葉に「目標を達成するために大切なこと、その目標に対して強くコミットメントすること」である。
1日は完結する。1日でどれだけ勝負できるかは、朝に強くコミットメントすることが大切である。

■反省・決意の日記を書く
・反省のポイントを整理・把握し。明確にきちっと書くこと。
・日記は同じミスや失敗を繰り返さないためのいい手段
・起こった事実を正確に把握。なぜ自分はそのミスをしてしまったのかを冷静に分析
・心の準備として、就寝前の反省と決意が必要。
この本を読んでからは自分もできるだけ簡単な日記をつけることにしている。一種の自己暗示に近いツールかもしれない。今までの自分にはできないこともできるようになる。

■わからないことはその場で聞く
・依頼された相手が午前中にいなくなることを想定して聞くこと。
バカとか飲み込みが遅いとかはどうでもいい。その依頼事項を実行できるまで徹底して聞きまくる。
仕事はわからないことがなくなるまで聞きまくる姿勢が必要である。うざいと思われるぐらいが必要なのだろう。


■明日やることの確認と準備をする
・朝出社して準備もなく仕事を始めるのと、すでにしっかり順序だててお膳立て・準備ができているのとでは成果が大きく違ってくる。
・特に十分な確認準備をその都度していかないと目上であればあるほど、へそを曲げられたり相手にされなくなったりする。
・目標が達成できる人は、必ず人よりも先々のことを考え、事前に手を打ち準備する。だから人よりも成果がだせる。
・彼らは知っている。仕事を成功させるカギ事前準備であること。
事前準備の大切さが綴られている。岩瀬大輔さんの本にもよく書いてある。徹底的に準備してかかってこいという状態にしてから勝負する。

■休日と平日の夜に工夫して勉強する時間をつくる
・明確に目標を定めどれだけ休日か夜に努力したか。世の中どんどん変わっているから、過去の知識や経験だけでは勝負できない。
個人レベルでどれだけ勉強したか勝敗の分かれ目となる。本・雑誌・DVDを使って個人でどんどん勉強してもよい。
徹底して勉強する姿勢が大切。どんなに営業でがんばっても、最終的には知識の底上げはとても大切なのだ。ただ資格のための勉強になってはダメだ。

【まとめ&感想】
よく上司が「休日に遊んでるだけのやつは絶対伸びない」と言っている。本書を読んでそれを再確認したという感じがする。
この著者の本は、初めて読んだが、なかなかいいことが書いてあった。当たり前だろうと思うことがほとんどなのだかやっぱり自分はできていないと思わせられた。当たり前の羅列だけどできていないからそれを実践することに意味があるのだ。

2011年10月10日月曜日

「道をひらく」を読んで

道をひらく
道をひらく

 松下幸之助氏によるベストセラー本。経営哲学がトピックに分けられて書かれている。戦後日本復興の象徴ともいえる本からも知れない。時代は違えどそこに通じるものはあるだろう。
最近いろんな本を読んでいると、「松下幸之助がモデルの時代は終わった」・「高度成長時代の古き良き時代ではない」などという言葉をよく聞くようになった。
たしかに同じことをコツコツとひたすら続けて、花を開かせる積み上げ型の社会ではなくなったのは事実だろう。それにも共感はできる。
しかしながら、幸之助氏が語った人としての正しさ・良心はいつの時代でも変わらないだろう。
以下の2トピックは、この本の一部のコピーを人事部の方がコピーして新人に向けて渡してしてくれたものである。

■道
・自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。ほかの人には歩めない自分だけしか歩めない。二度と歩めぬかけがえないこの道。広いときもある。狭い時もある。のぼりもあればくだりもある。この道が果たして良いのだろうか。思案にあまるときもあるだろう。なぐさめを求めたくなるときもあるだろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。
・あきらめろというのではない。今立っているこの道を今歩んでいるこの道をともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけにしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられたかけがないのない道ではないか。

■自分の仕事
・どんな仕事でもそれが世の中に必要になればこそ成り立つので、世の中の人々が求めなければその仕事は成り立つものではない。だから、自分の仕事は自分のやっている自分の仕事だと思うのはとんでもないことで、本当は世の中にやらせてもらっている世の中の仕事なのである。ここに仕事の意義がある。
・仕事が伸びるか伸びないかは世の中が決めてくれる。世の中の求めるままに自然に自分の仕事を伸ばしていけばよい。
・大切なことは、世の中にやらせてもらっているこの仕事を誠実に謙虚にそして熱心にやることである。世の中の求めに精一杯こたえることである。おたがいに仕事の意義を忘れたくないものである。

【まとめ&感想】
松下幸之助氏の人生観・経営哲学を物語る2トピックである。「世の中にやらせてもらっている仕事」とは深く考えされられる1節である。

2011年10月2日日曜日

「神様のサービス」を読んで

神様のサービス 感動を生み出すプラス・アルファの作り方 (幻冬舎新書)
神様のサービス 感動を生み出すプラス・アルファの作り方 (幻冬舎新書)
 小宮一慶氏CSに関する1冊!。小宮さんの本は結構前から読んでおり、個人的には1読者として尊敬し、書籍や記事はよく読ませて頂いている。「1秒で分かる財務諸表シリーズ」などベストセラーも多く出版している。そんな小宮さんが出したのはサービス業の神髄を語った本。
サービス業にも様々な形態があるが、顧客と接する仕事ならば一度は読んでおきたいものである。
本書の印象に残った部分、要約・感想を以下に。
■最適なQPSの組み合わせ
品質(Q)・価格(P)・サービス(S)の頭文字をとってQPSという。
・お客様が求める他者との違いがどこにあるのか。何が打ち出せるのかを見極めながら、短期的あるいわ中長期的な視点でお客様にとって最適なQPSの組み合わせを考える。
対応力の優れた会社が価格や品質でも他社より優れたものを提供できる。
いいサービスが提供できないなら価格を下げる。価格は悪くても、徹底的なサービスで満足度を上げる。組み合わせでサービスの価値は決まるのだ。

■見えないところに手を抜かない徹底ぶり
東京ディズニーランドでは、お客様をゲスト、働くスタッフをキャスト、全員がゲストを心からおもてなしするというお客様志向が徹底している。
・たとえ席が空いていてもぎゅうぎゅう詰めにしない。1970年代の遊園地では当たり前だったその光景を変えた。
お客様に自社の都合を押し付けるか、お客様の視点に立ったか、大きくで明暗が分かれた。
相手の目線に立つかどうかがとても大切。ディズニー本はこの本にかかわらず高い評価を受けている。震災時にも高く評価されたと言われている。

■お客様に関心を持つ
お客様の視点にたつことは、つまりお客様に関心を持つこと。言い換えれば優しさである。
・お客様は何を不自由に感じているか何を望んでいるのかに興味を持つことが大切。
・良い会社は良い従業員に長く働いてもらえる会社。
お客様をよく観察すること。深堀して考えることがとても大切。相手の言葉を素通りすることもできる。そこになにか感じることができるかがとても大切。

■満足をとことん徹底すると感動がある
・お客様のために何ができるかを徹底してとことん追求すれば感動がある。
・「満足」をとことん追求すれば、お客様の満足を徹底している会社は、誰かに伝えたいとして、リレーション・マーケティングとしてでいうところの「代弁者」となる。
積み重ねによって感動が生まれる。当たり前のことを積み重ねていくことに意味がある。とっぴなことをしない。

■クレーム対応の3原則
①ただちに対応する、②上司に報告する、③自分が思っているより100倍大変なことだと思って対応する、の3点である。一次クレームのときにすぐに対応すればお客様との絆が深まる可能性あり。対応が遅く2次クレームになると、取り返しがつかない。
クレームは会社全体で共有する姿勢がとても大切。内部志向の会社は、自分のことを守りに入るためクレームを隠すだけでなく、クレームをクレームと思わなくなる。
クレームは必ず発生する。そこをいかに対応するかがとても大切。クレーム対応力が企業の強みだと小宮氏は述べている。とは言っても、クレームゼロ運動は意味がない。クレームをクレームだと気付かいない方が問題だと述べている。新人の研修でもこの部分はやったなあ。ここ何十年で顧客折衝業ってのも結構考え方が変わったんだろうなと思う。

■お金を追うな・仕事を追え
・お客様のため、ひいては社会のために良い仕事をすること。それが結果としてお金になる。
・経営ビジョンに掲げ、そのことを全社員一丸となって徹底、良い商品・良いサービスが提供できる会社。
小宮氏のこの本に寄せるメッセージ。サービス業にかかわらず、BtoBのビジネスであるにせよ「お客様のことを考える・使用する人間のことを考える」ことがとにかく大切なのだ。顧客折衝行でない、エンジニアであってもそれを手に取る人のことを考える。

【まとめ&感想】
本書には各企業の実例が挙げられて、CSの徹底している会社やそうでない会社の実態があげられている。マニュアルのみにしばられず、さらにプラスアルファ顧客満足度を飛躍的にあげる仕組みが示されている。自分もサービス業で働く一員として、顧客対応を行う存在として、大切にしたい言葉がいくつも示されていた。
小宮一慶さんの本は、財務分析系で評価されてきているが、こちらもなかなかいい本であった。小宮さんは独自の哲学を持っており、にすごく共感できる。東京三菱銀行→コンサル→→PKO支援→介護福祉業→コンサル起業というあらゆる分野で経験し、自分の糧にしてきた部分があるのだろう。

2011年9月25日日曜日

「脳を活かす勉強法」を読んで

脳を活かす勉強法
脳を活かす勉強法

 脳を活かす勉強法の一冊である。大学院の2年生の時に読んで、共感する部分が多くその後時より読み返している。「勉強することは自分という存在を輝かせる」という言葉がとても胸に響きそれ以来、サラリーマンになった今もたまにこの本を持ち歩きたまに読み返している。茂木さんはさすがに脳科学者だけあって「知」を極め凌駕しているような人だからなおさら興味を持った。余談だが大学院時代はいろいろな人や書物に出会えてホントによかったと今では思っている。
茂木さんに興味を持ったのはツイッターがきっかけ。なんかテレビ番組ではうさんくさい人だとずっと思っていて興味がわかなかったけど、ツイッターをきっかけになんておろしろい人なんだ!と感心して、いろんな書物を読んでみるようになった。
興味を持った部分や要約を以下に。


■突き抜ける感覚は絶対クセになる
・「え・こんなこともできたの!?」ってと意外性が強ければ強いほど喜びが大きくなる。
・昔英語の本を読んでいたときの感覚。最初は分からないが我慢していて読んでいるうちに、突然スらっと頭が楽になりスラスラ英語が読めるようになっている。
・苦しければ苦しいほどその後の喜びは大きく強化される。苦しい状況をなんとかして突き抜けることはとても重要なこと。
最初聞いたときはなんて神がかったフレーズだと思ってしまった。ランニングしている時の感覚と少し近いかもしれない。自分をおいこんで走るとそのときは苦しいが終わったあとすごく突き抜けた感覚に陥る。感覚もすごく研ぎ澄まさせる。

■「アインシュタインみたいになりたい」でいい
ドーパミンによる強化学習のサイクル回すきっかけづくりが大事なポイントがある。
・自分の興味を追いかけていくうちに今の自分にたどり着いたそれでいい。
入口はなんでもいいのだ。
茂木さんが昆虫採集を始めた時からすべてが始まったと語っている。アインシュタインみたいになりたいぐらいでちょうどいい。興味を持っているものに対して貪欲に動くことで自分自身の強化学習が回っていく。

■「喜び」がないと強化学習が回らない
・脳の働きの本質は自発性。脳になにかを強制することがとても難しい。脳はポジティブな経験やほめられた体験をとてもよいものとして受け止める。
・教育過程において基本的に誉めることが大切である。
脳が喜びを感じるためには、「強制させたものではないこと」が大事だからである。何をするにしても自分で選んでいるという感覚こそが強化学習には欠かせない。
自分で選んだ、自分ではじめた、自分が興味をもった。その感覚がとても必要なのだ。

■モダリティを活用して勉強する
カードを用いた勉強法モダリティの統合プロセスを利用した勉強法。一度原文から目を離し、一度頭に記憶したうえで、原文をみながら書き出す作業を行うことで記憶に定着する。
・自分の手で書くことがとても大切なのだ。とにかく大量に読み、大量に書き、大量に聞いて大量に問題を解く。脳が方法を記憶するときの
モダリティを利用した勉強法には脳に大きな負荷がかかる。50メートルダッシュを何回も繰り返すよう焦燥感がある。
この勉強法は大学院時代から利用させて頂いており、資格試験などで用いている。ポイントはカードを作る際に一気に覚えてしまうこと。そのために一回原文から目を離し、一時記憶したうえでカードに書き出していく。

■絶好調の時に感覚を身体に覚えさせる
脳の特性をよく理解する。フローの状態(リラックスして、最大の能力を発揮できる能力)。
・着実に進歩するためには、自分がどこで間違っているのかどんなところが弱いのか性格に把握必要がある。
身体感覚の大切さを語っている。感覚というか質感にせまるのが脳科学者である茂木さんの仕事である。

■あなた弱点が得意分野になる理由
・弱点を抱えた人その弱点を幸福する過程で余人には及ばない領域に達する。
・弱点を努力で克服しようとする時、人は極めて高いモチベーションを発揮する。そしてだんだんできるおゆになるにつちえて大きなうれしさを感じるようになり、さらにドーパミンも多く出きて、脳の教科学習がより進んでいく。
茂木さんは人見知りで昔女性と話すことがすごく苦手だったという。そのために大学の学部を一回変えてしまうぐらいの出来事だったそうだ。人よりコミニケーションで劣っているという感覚を常に持ちそれを克服しようとした結果が何本もの司会者をこなし、今に至るそうだ。

【まとめ&感想】
茂木さんの本は奥が深い。それが脳科学者なのか、文学青年だったからかなのか、すごく感受性が高いからかのか分からない。テレビに映る表面だけでなく、その人のホントが知りたければやはり本やエッセイを読んでみればいい。自分のありのままを素直に書く、素直に語るそれがとても大切なのだ。
最後に読んでみて一番良かった本。
生きて死ぬ私 (ちくま文庫)

2011年9月24日土曜日

「心を整える。」を読んで

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

サッカー日本代表長谷部本!サッカーはそこまで見ないから分からないけれど結構なベストセラーになっているし、人から勧められたため読んでもみることにした。スポーツ選手が書いた本がビジネス書のランキング入りするというのは確かにたまにある。
最初見たときから結構な正当派な選手だなあ(なんとなく見た目だけど・・)と思っていたけど、予想通りやっぱりしっかりしていた。長谷部選手は、読書家であり、結構ものをしっかり考えているし、ストイックでありながらリフレッシュする習慣を語っている。確かにサッカーの日本代表のキャプテンあの若さで統率するわけだけから並大抵のメンタルではないだろう。一番以外だったのは稲盛さんの本とか、ホンダの創業者である本田宗一郎松下幸之助の本を読んだりして自分の糧にしていたという点。改めて感心してしまった。
要約および感想はは以下に。

■意識して心を鎮める時間を作る
・一の最後に必ず「心を鎮める30分」を作ることにしている。
・大事なのはザワザワした心を少しつづ沈静化させていくこと。
・どんな葛藤を抱えていても翌朝には平常心で家を出ていく。
稲盛和夫の言葉「1日1回心を鎮める時間をつくりなさい」。
本のタイトルにもなる長谷部の習慣である。驚いたのは、稲盛さんの言葉からきているらしい。1日の大半をサッカーに費やしている男がまさか稲盛さんのお本を読み、そこから実践しているなんて。

■マイナス発言は自分を後退させる
サッカーというのはいろいろな要素や人間が複雑に絡み合っているし、ミスを人のせいにしやすいスポーツ。いくらでも責任を押し付けることができてしまう。
・愚痴でうさばらしするのは、自分の問題点と向き合っていないから。
愚痴だけでなく負の言葉すべて現状を捉える力を鈍らせてしまい自分で自分の心を乱してしまう。心を正しく整えるためには愚痴は必要ない。
あたりまえのことだがその通りである。試合でのプレー中に起きた葛藤をベースに体験談を語っている。どんなときでも心を整えて、プレーを乱さない。

■お酒の力を利用しない
・お酒の席では仕事のことを忘れて、楽しく飲むことがベストである。
・お酒の力を利用して愚痴を言うのは好きではない。
・お酒の力を借りないと本音が言えない関係が嫌だし。そんな状況で出てきた本音に価値を見いだせない。
このフレーズにはなぜだかすごく共感できてしまった。お酒の席はくだらないことを言って楽しむぐらいがちょうどいい。本音を聞き出すとか、愚痴を言い合うとか、そんな場であるべきではない。同感である。

■孤独につかるひとり温泉のススメ
ひとり温泉というと、話相手もいないし、何をするにはひとりだしなんだか暗いイメージを持たれるかもしれない。恋人がいれば怪しいと勘ぐられるのは確実である。
孤独の時間だからこそできることがある。
・湯につかりながら地平線を眺めていると、自分の考えていた悩みなんてちっぽけなものだと感じられるようになる。日常からかけ離れた時間を贅沢に使う。
このセクションを読んでいるうちになんだか自分も一人温泉に行きたくなってしまった。長谷部選手の意外な私生活の一面を垣間見れる。意外とロマンチストなのかもしれない。

■群れない。
・特定の派閥に属さない。
・全員と信頼関係を築くためには特定のグループに属さない。だから派閥グループのようなものには属さない。
この言葉は意外にも心に響いた。サッカーやってる人ってワイワイ騒いでるってイメージがあるけど長谷部はその中でこんなことを言い出すとは思わなかった。盛り上がる時は盛り上がる。心を落ち着かせるときは落ち着かせる。

【まとめ&感想】
長谷部選手は、ザッケロー二監督からは、精神面心構えの面で評価されキャプテンに任命されたそうである。突出した身体能力フリーキックの力があるわけではない。得意技などもないが長谷部が託されたことにはわけがある。普段垣間見ることのできないいろいろな面を知ることができた1冊である。ビジネスマンもぜひ一読しておきたい一冊だろう。

2011年9月18日日曜日

「百年たっても後悔しない仕事のやり方」を読んで

百年たっても後悔しない仕事のやり方
百年たっても後悔しない仕事のやり方


ライフネット生命の社長の力作。岩瀬大輔さんの本ばっかりフォーカスしてきたけどやっぱりこの人もすごい!日本生命のロンドン現地法人社長・国際業務部長などを経て退職してから、なんと60歳からベンチャーを起業してしてしまうというエネルギー。
岩瀬さんにして「ほんとに話がおもしろい人」と言わせてしまう人。出口さんはなんというか「知の巨人」っていう感じの人。人間力というか、人としての厚みを感じる重鎮である。

■働くことが生きること
・仕事をすることをやめてしまえば、社会との関係を断つことに他ならない。
・多くの人は仕事に努力と工夫を重ねて、じわじわと自分の好きな仕事に変えていく。
最初から自分の好きな仕事、天職だと思える仕事に就ける人はいないはず。仕事に向きあいながら変えていく。

■余計なことを考えないこと
結婚のこと、子供の将来のこと、プライベートな問題は、合理的な判断だけでは解決しきれない場合が数多くある。
・なぜなら恋愛や進学、就職や転職には生きていくうえで私たちが直面するいろいろな人間関係や問題には矛盾があったり、論理だけでは説明しきれない面も多くある。
・逆に会社の仕事は、どんなビジネスをやろうとか、どうゆう商品を売ろうとか、会議用の資料を作ろうとか、必ずそこには明確な目的な目的があり、合理的な理由がある。しかし、多く人が仕事の企画や報告書類で正しい解答を逃してしまうことがよくある。
・理由は、①主観をいれてしまうから、②会社の人間関係を考えすぎるから。
・フランスでの教え:「カップルで喧嘩をしたら、ともかく星付きレストランでもいきなさい」
仕事はとにかく合理的に考えるべき。徹底して目的のための合理化・明確化を行うべき。余計なことを考えないことが大切なんだろう。

■社長になったつもりで
・大阪本店時代に上司から言われた言葉「社長になったつもりで仕事せよ」
・「よく考えてみろ。会社で大切な案件は全部役員会にかかるのだ。その資料はどこにあるんだ。企画部にあるんじゃないのか?会社で起きていることやはじまろうとしていることがわからないはずがないだろう。」
全体としての価値の序列がどこでついているか、それを見極めて実行する。それが社長が行うこと。これを整合性という。
出口氏は会社全体を見渡して各部門の整合性の見極めながらことを進めていくことの大切さを本店の企画部時代に学んだのだろう。

■お客様がいちばん大切な相手
保険業務の公務部長時代の話。「ただいま部長は打ち合わせ中です」をやめさせた。
・営業部門のお客様との応対は、サービスの悪い役所のようであることは許されない。役所の事情で市民を待たせることが非難させるように、営業部門の都合でお客様を待たせることは想定外の話である。
出口さんが保険営業の現場で培ってきたCSの考え方がわかる。今の僕の仕事にもこれは言える。とても大切な心構えだろう。

■火事場の馬鹿力を信じよう
・ある時上司にマージャンに誘われて残業があることを伝えると、「きみだったらその仕事朝早くきてやればできるよ。」
・アスリートの驚異的な神業は、日々の練習で積み重ねてきた集中力が爆発したもの。
人はあるとき信じがたい力を発揮する。
集中力を徹底して伸ばす。仕事のみに集中できる自分なりの工夫や習慣、スタイルを自分でつかんでいく。

■社員が朝目覚めて行きたくなる会社をつくろう
・楽しくなく気分が沈んでいる社員が、すぐれたアイデアが生まれるとは思えない。
・グーグルの経営者の言葉「会社ではたらいていても、一日2時間はグーグルのことは考えてはいけない。自分の好きなことや趣味について使うとか、勉強やスポーツをしなさい。」
楽しいと感じるとき、人は一番力を発揮できる。
ワクワクする感覚。なんか楽しい。この感覚がエナジーの源泉になるのだろう。職場は楽しくなくちゃ意味がない。そんなことを最近よく思う。人を絞めつけたり、押し殺したりする職場はほんとによくない。あなたはなんのために働いてますか?

■学力と教養に自己投資しよう
「人間がどのように生きて、苦労して、バカなことをやり社会を作ってきたか。そうゆうことを知ることが教養である。」
・国際業務部長時代・海外の金融機関のトップクラスの方はほとんどマスターかドクターだった。英語も当たり前に話せる。
・いま積極的に自己投資を続ける人が、将来若いライバルとのレースに大差で勝つことになる。
巨人の方の上にのって広い世界を見渡そう!人生というものは気まぐれなジェットコースターみたいなもんだ。

■読書について
・哲学者の木田元の言葉。「この人はどうゆう気持ちでこういう文章を書いたのだろう。」追体験をしていくことが必要。何かを学ぼうと思ったら、一生懸命に気持ちを集中して読まなければ身に付かない。
・師匠である高坂正堯氏の言葉。「ひたすら古典を読みなさい。数多の先達の洗礼、時代の洗礼を受けてきたのだから、内容に間違いがない。現代著者を読んで分からなければ、著者が無能なので読む必要はない。」
古典を読むことの大切さはいろんな人が良く話す。自分もそろそろ古典をかじってみようかな。

【まとめ&感想】
よみごたえのある深みのある一冊である。出口さんが大変な読書家・勉強家であるのがよく分かった。あとがきの小野田さんは、「このひとは経営者かbなのかステーツマンなのか。出口さんという人が深く流れる河のように思えてくる」なんて述べているけどそんな幅の広い人なのだ。

2011年9月15日木曜日

「入社1年目の教科書」を読んで

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2011年7月31日日曜日

「自分は評価されていないと思ったら読む本」を読んで

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2011年5月29日日曜日

「儲けたいなら科学なんじゃないの?」を読んで

儲けたいなら科学なんじゃないの?
儲けたいなら科学なんじゃないの?

就職してしまうとゆっくり本を読む時間は減ってしまうものだ。でも機会を見つけて結構読んでる。

 元ライブドアCEOの堀江隆文さん元マイクロソフトの成毛さんの対談集である。科学のイノベーションの可能性に高揚感を与えてくれるいい本だ。ただフツーの雑談っぽいとろこが彼らのいいところだろう。ホリエさんって近々収監されるんだっけ??。もったいないねえ。ポイントは彼らがもともと大学は文系出身にありながらエンジニアの道を進み途中から経営者になったところにある(成毛さんはエンジニアではないのかな)
 
理科系の人たちって(自分も一応理科系の院卒ですが・・・)基本的にものすごい頭脳と知識と集中力を持ち合わせているが、それがどうやって事業化されてどうやってファイナンスすればお金になるかなんて正直あんまり考えてない。そんな人がが多い。
そういって意味では中村修二さんなんてのはいい例。基本的に「おもしろいから」研究してるだけって人が多いかも。それが世の中をどうかえるとか・どんな役割をあたえていくかとかどうでもいいっしょって人が多いのは事実である。それが研究者の良さなんだけどね!

だから、文化系の思想とかファイナンスとかにすごく敏感な人たちと理科系の頭脳や知識をうまく媒介されることがすごく大切だと思うんだよね。オウムのあたりからその感覚がなくなってしまったってよくいうけど。
また、話はそれたけどこの本はおもしろかった。

【まとめ&感想】
10年前スマートフォンがここまで世に普及するなんて誰も思わなかったはず。電子書籍がここまで普及するとも誰も思わなかったはず。イノベーションってすごいもんだ。何もなかかった場所に巨大なブラックホールのような市場をつくってしまうようなもんだ。科学とは道なき道を歩むものでとにかくおもしろいのだ。
最後は成毛さん絶賛のノーベル物理学賞のリチャードファイマンさんの本を紹介。
ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

2011年5月21日土曜日

「132億円を集めたビジネスプラン」を読んで

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2011年3月5日土曜日

「お金の学校」を読んで

勝間和代のお金の学校―サブプライムに負けない金融リテラシー
勝間和代のお金の学校―サブプライムに負けない金融リテラシー
経済評論家の勝間和代さんがいろんな金融のスペシャリストとの対談した内容を本にしたもの。それにしてもものすごい量の本をだすよね勝間さんは。個人的に竹中平蔵さんとCSRの専門家である大和総研の河口さんとの対談がすごくおもしろかったので、その部分について書こうと思う。
要約・抜粋及び印象に残った部分と感想をレビュー。
■インフレターゲットはやるべき(竹中×勝間)
・いまはモノの値段があがって大変だ・大変だというふうに庶民としては考えるが実はそれでもGDPデフレータを見る限りはマイナスである。インフレもよくないがデフレもよくない。インフレでもデフレでもない状況をつくらなければいけない。それができるのが中央銀行。
中央銀行に目標を課して,それに対して成果を出してもらう.その代わりその目標を実現するためにどうゆう金融政策をするかは中央銀行の自由.だから多くの国でインフレターゲットがとられる.


ンタゲ政策に関しては現在も議論沸騰中。竹中さんをはじめ,高橋洋一さん・飯田泰之さん勝間和代さんとかはすごく肯定的で絶対やるべきだとしている。あと伝説の教授ことイエール大教授の浜田宏一さんも肯定派。

■額に汗して働け・金融こそ頭脳労働(竹中×勝間)
・金融というのは,「汗を流さないであぶく銭を稼ぐものだ」という類の議論がいまだに横行している。日本はモノづくりの国であって一夜にして巨額の富を得るとか,そうゆうギャンブルのような産業には手を出さなくてもいいんだといわんばかりの議論をする人がいるがそれは違う。
・われわれは家でごろごろしていないで,何もしていなかったら「ちゃんと働きなさい」といわれる。でも日本ではお金がゴロゴロ寝ている。限界労働生産性限界資本生産性という話について日本は著しく低い。


日本ではお金がごろごろ寝ているっていい表現だな。これから僕も使わせてもらおう!


■複雑な制度はよくない‐総合課税方式が必要‐(竹中×勝間)
・広い意味での金融の総合課税で税率を20%するとか,そうゆう形にするべき。その代わり投資をした場合の損益を通算させる。まさに総合課税の考え方が大切。今は商品ごとに縦割りだからFXで損したのも,株で得したのも相殺できない。
10%税率もいくつか残っているがこれも含めて全部総合課税の方向にもっていく。
税率を10%まで下げたことでデイトレーダーが出てきたという議論もある。税率10%手数料自由化デイとレーダーがでてきた。それで世の中がうまくまわればいいけどたいがいリスクを取りすぎて破綻するットレーダーが出る。



日本の税制ってほんとに複雑だよね.最近FPの勉強してると特にそう思う.いろんな特例とか複雑すぎる.ベーシックインカムとかにも繋がるのかもしれないけどいろいろ一本化してすごくシンプルにすればいいんじゃないかな.

■アントレプレナーとウーマノミクス(竹中×勝間)
リスクをとれる社会にするためには,やはりベンチャー育成の土壌が必要.この10年を見ても多くのベンチャー企業はニッチ市場で終わっているのではないかという議論もある.大会社のブランドがないと.なかなか取引もしてくれない.マーケットそのもののなかできっちりと評価してくれない.大会社のブランドがあってはじめて評価されるというのがある.
現在新興市場の調子がすごく悪い.なかなかIPOもできないし,IPOもできない.IPOした後もなかず,飛ばずいった企業もある.もちろん新興市場のなかで,循環取引をやったいろいろな不正会計をしてごまかした企業もないとはいわないが,ほかにも真面目な企業がたくさんあるのに,一部のそうゆう不正をしている企業に足を引っ張られることで新興市場そのものが危機になっている.
・実は女性の経済活動が成長に大きく影響している.アメリカでも,ここ20年ぐらいのGDPを見ると実は伸びがほとんど女性のGDPの伸びからとの分析もある.女性の労働までが今までマーケットの外にカウントされてきた.それがマーケットのなかに入ってきてGDPの中にカウントされてくる.


不正会計うんぬんの話ってライブドアのことだよねだぶん.たしかにライブドアショックが新興市場に与えた影響ってすさまじいよね.いま特捜検察の存在意義が問われるけど,ほんライブドアを失った市場は痛いと思う.

■危機意識の低い金融関係者(勝間×河口)
・社会的な潮流としてPRI(投資責任原則)というものがある。これが,2006年に出されて,署名するところが着実に増えている。署名機関が増えている。
サイステイナブルな世の中をつくるためには,われわれのお金の運用からサステイナブルにしないといけない。サステイナブルでない企業がいたら,圧力をかけて環境報告書を出せとかCO2を減らせとか,そういういうことを投資家として言って,していく。企業をサテイナブルにしていく。かつそうゆうところにお金を入れてパフォーマンスを上げるような仕組みを作っていく。というのは当然のスタンスであるが,のうち年金基金は企業年金が2つだけ.あとは金融機関。
・年金は自分たちのお金ではないとう認識がなく,オーナーシップの意識がないから,年金基金側が自分たちのやり方だけでやっている.


自分の支払ったお金がどう社会で有効活用されていくかをしっかりみるって感覚は確かに大切だ.事業仕分けってのもこれの一環でよね.税金の使われ方ももう一回問い直すことだ.

■お金へのアンビバレントな感情をどうかえられるか?(勝間×河口)
・金融がない社会がどれだけ不幸かというのは,途上国に行って実際に見てみるとそごくよく分かる。金融という手段がないためにインフラもつくれないし,サスイナビリティは保てないしすべての人がその日暮らしをしなければならない。金融という機能をひとつもたせれば,備蓄機能はあるし融通機能は出てくるし,交通機能は出てくる。金融とはクロスセクションと異時点間でのモノの資源の移動を可能にすることである。
・日本人はお金儲けに対して非常にアンビバレントな感情がある。街かどのフィランソロピストということで功成をあげて資産をいろんなかたちで社会に還元している人たち人たちを表彰しているが,そうするとやめてくれという人が多い。「そんなところで,表彰して社会にこんな寄付しましたとほめないで」というわけである.


日本人のお金もうけに対する見方は以上な気がする.僕が金融業界の就職活動をしているときもすごい批判的な目線で見てきた人がいた.ただ世の中を変えるツールに過ぎないのに,人前でお金の話をするのはご法度みたいなすごくへんな感覚がある.それは違う.


SRIを日本に根付かせよう(勝間×河口)
SRIがはじまった欧米では,宗教団体などがっちりした中核となった人たちがいたから.ある程度そうした安定的なマーケットがあったからこそ1990年代以降企業の価値はそうゆうホーリリスティックなところで見ていかなければいけないとするCSRが出てきた。特に環境は,ビジネスチャンスでもあり,わかりやすく企業の価値に反映されやすい。
・欧米のように,おばあちゃんから遺産で相続したものを持っていって,それは何かに長期投資するといった発想が日本にはあまりなかった.
・日本人の場合,金融はだだのお金儲けと考えている人があまりに多すぎる。お金儲けの手段というかツールである.このツールが非常に複雑であり,その勉強をすることは非常に難しく,きちっと勉強することは大変である.例えば,銀行に入るとそもそも何の意味があるのかといった哲学教育をせず,仕事を始める.いきなりお札を数えるところから始まる.
SRIは上場企業への投資が多かったのだが,ESGを入れ込むということになると,不動産投資でビルを評価するときに断熱材が入っているとか,無駄なエネルギー消費を抑えたり自発家電をしたりするエコビルかどうかとったようなそうゆう評価の発送が出てくる。今まで財務情報しか流れていなかったところにいかにESGの情報を入れていく。



就職活動をしている際にこのSRIの仕組みについて知った。お金を正しい方向に使うことの意義を考えさせられる。偏ってこりかたまった資金をそうゆう方向に流していく可能性をSRIは示してくれているそんな風に思う。


【まとめ&感想】
僕が金融業界に興味を持ったのは「お金ってなに?」ところにすごく関心があったからである。僕の大学・大学院時代にはいろんなことがあった。小泉旋風・外資ファンドの日本企業買収・ライブドア事件・サブプライムショック・リーマンショック・政権交代・グラミン銀行のユヌスのノーベル賞受賞・事業仕分け・・・。全部お金が関係する問題ばっかり。お金は世の中を変えられる,新たなイノベーションを起こせる起爆剤なんだ。すっごく可能性を秘めている。だけど,その使い方を失敗すれば・・・。本の中には金融教育の話が結構でていたけど,すっごく賛成である.日本の金融教育はほんとにひどい。中高時代はろくに学んだ記憶がない.いい本もない。

僕は正しいお金を使い方を子供たちに教えられる社会人になろう

参考図書はこちら.
敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか
ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理

2011年3月3日木曜日

「イシューからはじめよ」を読んで

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人氏の帯に書いてある通り「研究者×戦略コンサル×マーケター」と書かれており幅広いキャリアを歩んできたことが分かる。特にすごいのがサラリーマンを一回やめて海外の大学でPhDを取得したというところ。普通の人間はそんなパワーはない。研究活動でひたすら知を追求した結果としてこのような本が書けるのかもしれない。三谷宏治さんの本に少し近いものは感じた。こっちの方がもっと深く踏み込んでいる。印象に残った部分の要約抜粋を以下にレビュー。

■悩まない・悩んでいる暇があれば考える
・悩むとは「答えのでない問題」という前提にたっており、いくらやっても徒労感しか残らない。特に仕事において悩むというのはばかげた話である。
・仕事とは何かを生み出すためにあるものであり、変化を生まないと分かっている活動に時間を使うのは無駄以外何物でもない。
・悩んでいると感じたら一度止めたほうが良い。「悩んでいる自分を察知できるようになろう」とよく言っている。研究・ビジネスですべきことは、あくまで「答えが出る」という前提にたっていなければならない。


悩むことは何の生産性もない時間である。考えなければ意味がない。最近は僕もそれを胸に刻んで生活するようにしている。

■何はともあれ「言葉」にする
・イシューが見えてそれに対する仮説をたてたら次にそれを言葉に落とす。「これがイシューかな?」・「ここが見極めどころかな?」と思ったらすぐにそれを言葉にして表現することが大切である。なぜか?それはイシューを言葉で表現することではじめて「自分がそのイシューをどのようにとらえているのか」・「何と何についての分岐点をはっきりさせようとしているのか?」が明確になるからである。
・言葉にすることで、「最終的に何を言わんとしているのか」をどれだけ落とし込めているかがわかる。僕が「言葉にすることを徹底しよう」・「言葉に落とすことに病的なまでにこだわろう」いうと驚く人が多い。図や表ではなく言葉でしか概念は伝わらない。


僕もまがいなりに大学院で研究活動を行ってきた存在としてこの感覚はすごく良く分かる。がんばって分析にかけた過程や分析を行う本質的な意味を言葉にして説明できなければまったく意味がないのだ。「言葉で説明できなければほんとに理解できたとは言えない」とはよく言ったものでその通りだと思う。

■一次情報にあたる
誰のフィルターにもかかっていない生の情報にあたること。モノづくりならば、生産ライン・調達の現場に立つこと。販売ならば現場に出向くこと。店頭にたってお客様の声を聞くこと。研究の場合、そのテーマを研究している人の話を聞くその手法を開発した人の話を聞くこと、データの場合
加工されていないデータにあたり、変化にパターンや特徴を見て理解することである。
・現場で何が起こっているのかを見て感じない限り理解できないことは多い。一件関係のないものが現場では隣り合わせで連動しえいるといったことはよくあるが、これは現場に出向かないと分からない。


現場にあたること、その道のプロに直接質問すること、ユーザーの生の声を聞くことなど誰のフィルターのも掛けられていない情報に直接あたることの重要性を述べている。この点は僕も大学院での研究生活ですごく共感できた。ライフネット生命副社長の岩瀬大輔さんもある本で全く同じことを述べており,考えに考え抜いた結果ふっと現場に行ってみるとすぐに腑に落ちることがあるそうだ。

■「Sowhat?」を繰り返す
仮説的な質問を繰り返すことの重要性が述べられている。何度も自分に対してあるいはチーム内で質問を繰り返すことで仮設がどんどん具体的になり、検証すべきイシューが磨かれていく。


大学院で研究活動を行うなかでやはり僕もこのフレーズを頭に反芻させることがあった。どうしてもひとつのことをずっとやっていると井の中の蛙の議論になりやすい。そもそもそれって意味あるの?社会手金いどんなすばらしいことがあんの?って突き詰めていくことはとても大切。

■おわりに
・毎日の仕事・研究のなかで「この作業って意味があるのか?」・「それは本当にイシューなのか?」と問いかけることからはじめるのだ。僕自身振り返ってみてもまさにこうゆう日々の活動の中で少しずつイシューに対する感覚を磨いてきた。
コンサルタントとして仕事を始めた頃「それって本当にイシュー何ですか?」と尋ねてチームの責任者から「それはとてもいい質問だね!」と言われたときの喜びは今でもよく覚えている。


毎日の生活のなかでイシューを追求する重要性を最後に語っている。議論を一歩前に進める質問・日々の生活の中でイシューを発見し,それを突き詰める姿勢は大切。

この本はかなり反響を読んでおりカリスマブロガーの書評も多数!
○内藤忍さんの書評:http://www.shinoby.net/2010/12/post-2287.html
○右往左往:東大院生のブログ:http://rightnleft.blog61.fc2.com/blog-entry-352.html
【まとめ&感想】
もともと筆者のことを知らなかったことからどんな本を書くのかと感じながら読んだ。かなりの重厚感が感じられた。脳神経科学のPhDまで取得しているせいか知的で論理的なことが分かる。「我が国では仕事の効率化などの小手先の議論ばかりされていて本質的な知的生産の議論が行われていない。」と述べて最後に問題提起をしている。非常に共感できる。
マネックスユニバーシティの内藤忍さんの書評ではこの本は口当たりは良いですが、深みもかなりあり、簡単に読み解ける本ではないと思います。何回も何回も読み込んで、その中から何かを見つけていくような本です。」と評しており単なる要約本ではなく,教科書のように噛み締めたい一冊かもしれない。
この言葉は筆者のキャリアを物語っている。小手先の仕事術本かもしれませんが筆者の在籍したいたマッキンゼー本
マッキンゼー式 世界最強の仕事術 (SB文庫)

2011年3月2日水曜日

「NO1エコノミストが書いた世界一わかりやすい金利の本」を読んで

No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい金利の本
No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい金利の本

紀伊国屋をぶらついていたときに金融関係の棚にこの本が山積みになっていたのでパラパラめくっていたら結構分かりやすそうだったため買ってみた。上野泰也さんはこの本を読むまでは知らなかったけど業界ではかなり有名なようだ。6年連続アナリストランキング1位ってたぶんそうとうすごいよね。でもこのランキングってごうやって決まるのかな。USTでは高橋洋一さんと対談していたし,最近では結構有名になりつつあるような気がする。
すごくロジカルで落ちつた語り口で理路整然と語られている姿をUstで拝見したことがとても印象的である。
ところで,勝間和代さんが言ってだんだけど、アナリストってみんなメディアトレーニング(テレビに出る際のしゃべり方の練習)を受けるらしい。だからみんな機械みたいに丁寧にしゃべっていて凄く整っている.ニコ生とかUSTとかがはやることでこういったトレーニングも特に必要なくなるかも。リアルタイムでみんなしゃべりたいことを一気にしゃべる。高橋洋一さんとかはほんとにそんな感じ。
それでは本題に。印象に残った部分と要約・抜粋を以下にレビュー。

■住宅ローンを選びお金の運用が上手に
金利の変動の背景が分かれば日本の景気や金利の動きを予想でき、あなたのビジネスや資産運用において的確な判断が下せるようになってくる。住宅ローン・金融商品選びにおいて金利の知識が生きる。住宅ローンの金利支払いを低く抑えられたり、数多い金融商品のなかから自分にとって有利なものを選ぶことができるようになる。
金利の知識は、ビジネスにおいても大いに役に立つ。銀行や証券会社などに金融機関に勤める人、財務・経理を担当するする人はもちろん一般のビジネスパーソンにとっても大切である。
景気・物価・為替市場・株式市場・日本銀行の金融政策・政府の財政政策などの現状と将来の見通しである。市場の金利動向を読み解くことは今後日本経済がどうなるかを知ることにもつながる。
「金利が分かれば経済の仕組みが分かる」というけどその意味を解説してくれた。景気変動や経済政策国の政治動向すべてに相互間で影響しあうのだ。だからほんとに大切。

■金利は上がると利払い負担が増えて企業が苦しむ
・企業は銀行からお金を借りて金利を支払っているので金利の上下は企業にさまざまな影響を及ぼしている。まず金利が上昇したときは利払い負担(金利支払いの負担)が増えて企業を苦しめる。企業はお金を借りていれば利息を支払う(支払利息)。お金を貸したり投資したりしていれば利息を受け取る(受取利息)。つまり、金利上昇はとくに中小企業を苦しめる。
優良企業は社内に内部留保というお金をたくさん貯めているため、銀行からお金を借りる必要がなくなる。銀行借り入れや社債発行を一切せずに、資本金と内部留保金をを使って経営すること無借金経営という。実質的には無借金の企業は東京証券取引所一部で数多く見られ、トヨタ自動車や任天堂、パナソニック、キャノン、武田薬品工業などが代表的である。
中小企業は金利の上げ下げで一喜一憂しなければならない。そもそも優良企業って無借金経営できるから巨額の資金調達

■長期金利と景気は連動する
・長期金利市場の「長期金利」は、その時々の日本銀行の金融政策の決定の影響も受けるがそれ以上に、将来の経済の見通しで決まる傾向が強くなる。
・具体的には、将来の景気や物価の動向など複数の経済要因の見通しで動くということである。よって、長期金利将来の変化先取りする性質があると言える。
・金利の動きを長期で見ると、経済成長と密接な関係がある。経済成長はGDP成長率で表す。まずGDPとは一定期間に国内で新たにつくられたモノ・サービスの付加価値の合計額のことである。長期金利経済の高度成長には高く低成長期には低くなることがわかる。
景気を観測する上でとにかく大切なものが日経平均と長期金利である。

■インターバンク市場とオープンバンク市場
短期金利市場には、インターバンク市場とオープンバンク市場がある。インターバンク市場とは銀行や証券会社などの金融機関だけが参加できる市場であり金融機関同士がお金を出し合う。参加者は銀行のほか信用金庫や証券会社、保険会社、短資会社である。オープンバンク市場とは、銀行や証券会社の他に商社などの大手事業法人地方自治体などが参加している。インターバンク市場との大きな違いは、金融機関以外も参加できるということになる。
・実は市場とは言っても株取引が行われるまで東京証券取引所などのようにどこか建物に取引所があるわけではない。電話や専用端末を使ってお金をやりとりするバーチャルな市場なのである。それらがつながったネットワーク全体を市場と呼んでいる。
・短期金融市場は、当事者間で直接取引する「相対取引」である。お金の借り手と貸し手の双方が納得すれば、どんな金利でも取引が成立する。
インターバンクやオープンバンクって見たことがないから想像しずらい。バーチャルな市場で売り買いしているからもちろん見ることができない。最初勉強したときはいまいち腑に落ちなかったけどなんとなく分かってきた。短期金利市場はすごく重要な存在は分かる。


■規制緩和でどの銀行の金利も同じだった
・現在の日本の金利は需給バランスで決まる自由金利である。しかし1980年代までの日本の金利は政府・日本銀行が決める規制金利だった。臨時金利調整法という法律で金融機関の預金・貸出金利を政府や日銀が決めていた。
・当時の金融市場は未発達であり、銀行の資金調達は日銀に依存する割合が高かった。公定歩合は銀行の資金調達コストの基準となっていてどの銀行も預金・貸出金利は同じだった。
・戦後、日本は経済復興のためにお金を日本国中に行き渡らせる金融システムをつくった。規制金利によって銀行間競争をなくし、銀行を倒産させない護送船団行政といわれるシステムである。
戦後に策定された護送船団行政や規制金利時代の歴史を再確認できる.

1994年には預金金利がすべて自由に
1970年の後半に日本に金融自由化の波がやってきた。そのきっかけは、国債大量発行である。1973年の1次オイルショック(石油価格の高騰)で日本は深刻な不況に陥り税収が激しく落ち込んだ。そこで政府は税収不足を穴埋めするため、国債を大量発行してお金を確保しようとしている。
19794月銀行が国債を流通市場で転売価格は需給バランスで決まるようになった。また、コール市場などの短期金融市場の金利自由化も進み日銀は金融政策を徐々に公開市場操作へと切り替えていくこととなった。
金融自由化はしたもののそんなに金融業界って変わっただろうか。見違えるごどは変わっていないはず。

■金融危機でFRBがとった政策・今後のFRBの出方
FRB議長は経済学者出身のバーナンキでありFRBの任務は物価の安定と最大雇用の二つである。逆にECBなどは、物価の安定のみに力を入れることが法律で決められている。FRBの権限のうちプライマリークレジット金利の決定と銀行以外へ緊急貸出が注目されている。
米国の通貨ドルは世界中の通貨の中でも信頼度が高く、世界中で使われている基軸通貨である。金融政策を通じてドルの命運を握っているFRBの出方しだいで、世界経済は良くも悪くもいいっても過言ではない。
・米国で住宅バブルとクレジットバブルが崩壊してからさほど時間がたっていない。米国経済はまだ治療期間あるいは療養期間にあると言って良い。そうした状況の中でFRBが無理に利上げして米国経済の回復の動きを遅らせてしまうと世界経済全体大きな悪影響が及びかねない。米国の金利の動きは為替相場を経由して日本の金利にも強い影響を与えている。
リーマンショックの後にFRBがとった金融政策の流れを分かりやすく解説。ドルは基軸通貨であることからFRBの出方で世界経済は大きく変わるのだ。ところでバーナンキとかグリーンスパンとかルービンとかガイドナーなんかアメリカの金融セクターで働くトップって全世界で有名になるし注目を受ける。日本はどうかというと・・・

■国債暴落説を招くシナリオ
・日本円は、基軸通貨ではない。次に、日本国債は金融危機が起こったときにリスクを避けるために世界のマネーが流入する投資対象でもない。つまり米国債と違って日本国債マネーの受け皿となるには不十分な投資対象であると言える。
日本経済は(1)人口減少・少子高齢化に進行、(2)慢性的なデフレ、という米国にはない2重苦が日本の財政再建を難しくしている。シナリオとしたは二つが考えられる。
(1)キャピタルフライトの発生:日本の個人投資家が円建ての記入資産で資金運用するのをやめて外貨建ての金融資産で資金運用する傾向(キャピタルフライト)が強まったとき国債は暴落する。(2)政府の借金増加による資金繰り危機の発生日本の個人投資家が円建ての金融資産を中心に資金運用する傾向は基本的には変わらない。やがて国債・地方債が大量増発されて政府の借金が増え続けるとついにその額が家計金融資産(約1400兆円)を中心とする国内マネーの額を上回ってしまう。すると、海外マネーが国債を大量に買ってくれないと、国の資金繰りが成り立たなくなる。このとき、国債は暴落する。
国債暴落のシナリオが二つの観点から語られている。この手の議論は昨年から竹中さんとか榊原さんとかがいろんな本に書かかれている。前読んだ本には個人投資家よりも機関投資家の方が圧倒的に影響力が強いんだかその辺は普通にコントロールできる。だからまだまた国債は発行できるし,すぐに暴落なんてありえないとう内容だった。実際は結構深刻だろう。

■英国BOEのインフレターゲティング
・英国は通貨ユーロは導入せず、自国通貨ポンドを手放していない。英国は独自の金融政策を行っている。英国の中央銀行はイングランド銀行で設立は1694である。BOEは戦後長く財務省の付属機関であり、独自の政策運営を行っていない。
・しかし1997年に金融政策の大改革が実施され、禁輸政策の決定権は財務省からBOEに移されて独立した機関となった。
BOE1992インフレ率を政策目標とするインフレターゲティングを採用している。政府が定めるインフレ率の目標(現在2%)の達成を目指して政策の運営を行っている。英国の主要政策金利はバンクレートであり2010年には6月現在で0.5である。バンクレートとは中央銀行が一般の銀行に貸し出す際の金利のことでいわば公定歩合である。
・2008年後半の世界的な金融危機に直面した英国は日本のバブル崩壊後の不況やデフレなどを教訓として市場から国債などの債券を購入して資金供給量を増やそうとする量的緩和を行ってきた。20102月に量的緩和措置を休止した時点で買い入れ枠は2000億ポンドにも達している。ただし、今後の景気動向によっては量的緩和措置を再開する可能性もある。
現在我が国でもインフレ目標を設定して金融政策を行うべきだ主張する学者は多くいる。果たしてその効果はどうだろうか?僕は素人だからまるで分からないけど。池田信夫さんのこの前のつぶやきを見ていたら「クルーグマンももうインフレターゲットを主張していない」とあったけど本当なのかな。

【まとめ&感想】
エコノミストランキング1との称号だけあり分かりやすくすばらしい説明だった。かなり勉強になった。書き出しながらいろいろなものが腑に落ちていく感覚があった。内容としてはおそらく金融のセクションでは働いているわけではない社会人向けに分かりやすく書かれたものであり、学生の自分からしてもわかりやすかった。
為替のやつもぜひ読んでみよう!
No.1エコノミストが書いた世界一わかりやすい為替の本

2011年3月1日火曜日

「特別講義 コンサルタントの整理術」を読んで

特別講義 コンサルタントの整理術
特別講義 コンサルタントの整理術

三谷宏治さんの本。仕事術とかHACKSシリーズとかいろいろあって最近はすごいはやりだが,今回の三谷さんの本は「整理の思考法」を伝授してくれる良い本だった。本のなかでが紹介されているシゴトの渋滞、解消します! 結果がついてくる絶対法則を例にとり,仕事を自然現象の渋滞にたとえ,いかに対処するか裁くのかに関する思考法が語られている。

■「分ける」・「減らす」・「早めにやる」・「習慣」、にする
・渋滞の考え方と同じ。一番面白いのは、分けること。割り切りといっても良い。一日のうち何十分かはこれである。一日のうち何十分かはこれである。ならば、仕事を「価値を生む悩み」と「生まない悩み」に分けて、渋滞を減らす。
一番大変なのは「減らす」こと。対処すべき仕事が減らせるならそれば一番である。まさに整理術の王道。ゆえに地下道はないが、なんとかできれば効果は抜群。実際に一番必要なのが、「早めにやる」こと。早めに手をつけることで、仕事が驚くほどに楽になる。なぜなら、その仕事をやる気になったときだけ取り組めば良くなる。これ程高い生産性の高い状態はない。
「習慣にする」はその名の通り一番近道。目的意識とやる気を保ったまま、続けられるかが勝負だが、問題はあなた自身が勉強好きでいろいろ手を出す体質であった場合。まずは一つこのことを続ける決意と行動力を持つことが成功への近道になる。
分ける・減らす・早めにやることの大切さが分かる。特に最後の早めにやるというのは良くわかる。最初に軌道に乗せてしまうことの大切さが身にしみて分かる。軌道に乗っていると安心感からか仕事の効率があがる。

■悩む時間は無駄である
・高校時代の友人の話。昼飯を選ぶ際に、友人が放った一言。「いや、本当になんでもいいんだ。オレは、こだわること、そうでないことを決めている。食事はこだわらない。だから好きにしていい。」衝撃的な一言。世界が変わって見えた。
・人は「これをどうしようか」とか、あらゆることに対して「これは悩む」・「これは悩まない」と決めて分けてしまえば、多くの時間を無駄にしないで済む。悩んだら一歩下がって考えよう。これは悩むべきテーマか?
自分のなかでの判断基準を常に忍ばせておくことはとても大切。ここ一番の判断スピードや本当に使いたいものに思考を集中させることの大切さが分かる.

■自分の心を少しだけコントロールする
・本当に感情に振り回されないようにしたいなら、まずやるべきことは、「感情自体を認識すること」である。今自分は、怒っているのか、焦っているのか、羨んでいるのか、それを常に意識すること。それが、できたらもう半分勝ったようなものである。感情を押さえるものと、押さえないものに分ける。意味があるのか?価値があるのか?問い直してみる。
・① 悩んでも良くならない→悩まない 焦っても早くならない→焦らない
・これらは、ある意味割り切りであり、あきらめである。それは悩みには意味があるのかその焦りには価値があるのか?こう問い続けることが大切。
仕事ではくだらないことで悩んで一番重要な仕事に手がまわらない。本に真剣に考えなければならないことに十分な思考の時間がとれていないことが大きな問題なんだ。私自身日常生活や研究室での毎日の活動でもそれを感じていた。

■自分のこころの状態知る
・職場に限らず、まじめな人ほど困って悩んでいる。もっと適当にというわけにもいかない。だから、また悩む。学生の頃は、友人などが相談相手となるが、大人になると職場も違い、説明も面倒になって本当の相談はしにくくなる。でも同僚には打ち明けられない。とにかく、何に悩んでいるか分からないほど悩みの支配力は強い。だから、資料をつくる手はとまり、同僚・友人との雑談に逃避する。
・「越えるべきなのか、回避すべき落とし穴なのか、それが大きいのか、小さいのか、高いのか深いのか」そういったことすら分からなくなる。自分の悩みの状態を正確に把握することが整理へ第一歩なのだ。「いま自分は悩んでいるぞ!」という状態を意識しよう。ユーキャンの調査では、新社会人の悩みの上位は「人言関係のストレス」・「勤務環境」・「業績不振による報酬の伸び悩み」・「リストラなどによる失職」である。
自分のこころの状態に敏感になることがとても大切。BCGで膨大な仕事量を抱えながら成功を収めてきた三谷さんだから説得力がある。

■短期収納場所を確保する。
・メールの受信箱に一週間だけというのは、仕事の短期貯蔵装置の拡充は、全体の処理効率を上げるのに役立つ。渋滞でいうならば、慢性渋滞個所の手前にサービスエリアを設置して、そこに一時余剰な車を収納するといった感じ。個人的にいろいろ試してみて効果があったのは、書類棚、机、ディスプレイ3つである。
書類棚は、4が入る薄い棚がいっぱいあるやつ。これを積み重ねれば30種類くらいの資料があっという間に片付く。仕事の最中だけ維持し、終われば中身を捨てる。は、きれいにこしたことはないが、短期貯蔵庫として見直す。大きな机の両脇に資料を積んで、邪魔になったら片付ける。一番良いのが、通販のキッチンテーブル。奥行き90㎝、幅140㎝の机が2万で手に入る。最後のディスプレイは、21㎝のものを2台ならべて使っている。そうするとデスクトップの総面は25百平方㎝である。整理は基本的に時間が解決してくれる。そのために一時的な貯蔵庫を大きくして保存する。
たしかに問題は時間が解決してくれるのは事実。そのための貯蔵庫は大切だ。書類棚・机・ディスプレイの大きさにこだわっている。

■モチベーションを早めに上げる
締切前からモチベーションをどう上げるか?引き受けた仕事は、必ずしも楽しくわくわくするものではない。イヤイヤのものも多い。だから締切効果に頼ることになる。
そこで、ゴールのシーンをイメージする。ある種のイメージトレーニングである。それを繰り返し行って、危機感や期待感を紡ぎだすために、有効なのが張り紙。
パソコンに電子付箋。よく見る場所に締めきり期日を張る。大事なのは一覧性。一枚ですべてのイベントが分かることが大切。それ一枚ですべてのイベントが分かる。
締め切り効果とはよく言ったものだがこれは逆の発想。まだまだ先のイベントに向けてじわりじわりと,どうやってやる気をあげていくか。

■新人社員時代と現在
・新人社員時代は、「自助努力」と「先手必勝」ということ。まずは、自助努力、天命を待つのはそのあとでも良い。あと受け身の姿勢では絶対だめになる。自分からやらされ感はいっそう強まる。ミーディングが終わったら、指示を待たず、超高層でまとめを作り、次の作業計画案を作って提案でする。仕事の量や方向をコントロールする。先手必勝で土俵を作って、相手を自分の土俵に乗せるべし。そして現在。「悩むぐらいなら動いたら」常に背中でささやく自分がいる。
あとがきの言葉には重みがあった。これまでのキャリアから感じられる深みもあった。自助努力と先手必勝とはいい言葉。

【まとめ&感想】
非常に良い本だった。なんだか重厚感というか深みが感じられる一冊であった。先手必勝自助努力とは良い言葉。もともと理科系出身ってこともあり話もロジカルだしだてに戦略コンサル何十年もやってないことがわかる.さすが三谷さん。
お手伝い至上主義でいこう! ― 子どもの就職力を高める「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」習慣

2011年2月28日月曜日

「人と違うことをやれ!」を読んで

人と違うことをやれ! (PHP文庫)
人と違うことをやれ! (PHP文庫)


堀紘一さんの本。実はこの方の本を読むのは初めてだが、存在はかなり前から知っていた。サンデープロジェクトとか朝生でいつも田原さんの番組に出ていることで知っていた。経歴もすごい。新聞記者から総合商社へそれからハーバードMBAをベイスカラーで卒業しBCGの日本トップにさらには自分でコンサルつくって起業して海外にも展開しているとうなんともすごい。でも僕は、最初は傍若無人でうるさい年寄りって感じがして好きにはなれなかった。しかしこの本を読んでやっぱすごいなと感じてしまった。きれいごとを書いてるのかもしれないけど,歩んできた人生は確かにすごいし説得力を感じた。印象に残った部分の要約・抜粋及び感想は以下に。


■仕事を途中でやめると集中力が高まる
・「これで終わっていいのか?」考えたとき、さっと最終チェックをして後戻りはしない。
突き詰めて考えて、無駄に時間を使ったりしない。周りがギャーギャー騒ぎだしたらまた集中力を一気にあげて始める。アフターファイブを楽しんで、明日のために脳をリフレッシュする。
・仕事が長引くのは脳が使えていない証拠。頭がいい人はパパッといい仕事をしてさっさと片付けてかえる。集中力の密度が違う。
確かに疲れた頭でうんうん考えてもしょうがない。ここ一番の集中力がとても大切なのだ。

人間の脳の摩訶不思議な力を出す最後の一センチ
・もう限界だと感じてからあともうひと絞り考えてみたら、爆発的にブレイクスルーする。考える力のもととなる、洞察力、発想力、集中力、記憶力、をバランスよく磨いていないといけない。「何事も徹底して考える」という習慣グセ。本当か?自分ならこうやる、と常に考えるという習グが大切。
徹底して考えることの重要性が綴られている。決断や判断力に敏感になることの重要性は最近すごく感じている。

■原因他人説に逃げ込まない
・問題は、上司のせい、会社のせい、社会のせい、は絶対だめ。自分に問題があるように常に考える。素直に自分の悪い点を認める。自分のこうゆうところ、を直していこうという前向きな気持ちになれる。
・堀君って「なんでスパスパと気持ちの切り替えができるの?」に対し、まず考えるより体が自然と動き、「興味の対象があまりに多すぎて夢とか目的があれこれ多かったから。」と答えていた。
・20代はがむしゃらに、ライフスタイルや価値観を固めない。とにかくぶち当たって自分を変形させる。
ここのフレーズはめちゃくちゃ共感できる。原因を全部他人になすりつけている人って絶対成長できないし、周りの人間も離れていく。原因自分説に立脚してなおかつポジティブな前進型が理想。


■私が銀行マンならこう考える
銀行の新規開拓営業は難しい。相手が決して満足していないサービス内容に着目する。「あなたが今取引されている銀行に対する不満はどんな点がありますか?自分の取り引き先にはなかなか言えませんから。ご迷惑な話だと思いますが、ひとつご教授下さい。」必ず現取引銀行への不満はあるはず。
銀行マンは普段から預金をよこせとか、金を借りろとか言ってくるくせに、「不満はないか」などおもしろい奴だ。これを全部解消してあげれば取引は成立する。
相手の不満を手がかりにするこつが語られている。自分が銀行員ならこうするという内容。だてに考えて記者・商社・コンサルはやってませんよというのは分かる。


■意外性の交渉術
・こいつは一生懸命になってただ働きをして可哀そうだという気持ちにさせる。ソニー会長出井氏オリックス社長宮内氏から案件を頂いた。相手にとってまさかということを繰り返す。
要はあまりがつがつせずに人つきあいをすること。打算的に考えれば全く役にたたなくなる。だから、日参していたような部下や取り巻きのあしがすっかり遠のいてしまった。
人脈の先行投資術の一つでもある。ビジネスの前線から退いたメーカーの顧問との会食の話。一件メリットはないように思えるが、お世話になった人をねぎらう気持ちは打算でやらない。噂や人情に関する話は人伝いに広がる。堀は意外と人情味のある男だという話が広がっていた。この人と付き合ったら損か得かと考えずに豊かな人間関係を築く。
重要なときほど,損得考えずに打算に走らず人として正しいコミニュケーションをとることが大切。たしかにここもかなり共感できる。


■少数派であることを恐れない
・こういうときに気の利いた反対意見を出せる人間。今すぐ採用するわけにはいかないが新しいアイディアを次々と出せる人間は、経営者にとってたのもしくもあるなにかやってくれるのではないか、と期待感を持たせてくれる。
・いま取り組んでいる実務や仕事の中で取り換え不可能な力を身に着け、存在価値を高める。
取替え不可能な力を身に付けることが大切なのだ。今自分がいなくなったらまずいと思わせる力である。


■トップの生保レディに学ぶ
生保は歩合制であり、個人で評価される。日本生命のトップはこう戦術を立てた。「コツコツと一人ひとり売り歩いても埒があかない。中小企業の経営者だと狙いを定める。
莫大な先行投資をしつつも、「本日はお忙しいようなので失礼致します。またお会いできることを楽しみにしています。」といって去る。多少の時間と投資金は必要とするが、顧客とセールスという関係以上の心の通い合いができる。
交渉術の巧みさが垣間見れる。自分にはまだこういった巧みなわざは到底できないだろう。

【まとめ&感想】
意外性の交渉術人脈の先行投資自責論にはかなり共感できた。この人はテレビにうつっているときの印象が極めて悪い。ほんとはかなりすごい人のはずである。これからも注目したい人である。こちらも必見。
日本の成長戦略


「一秒で財務諸表を読む方法」を読んで

「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本
「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本

小宮一慶さんのブレイクした本の一つである。僕もこの本が売れ始めたときは小宮さんの存在を知らなかった.やっと存在を知り注目するようになったのは、ビジネスマンのための「発見力」養成講座 (ディスカヴァー携書)とかあたりまえのことをバカになってちゃんとやるとかが売れ始めたあたりで知り少し興味をもった。この方はやっぱ人間力がすごく長けてる。までもこの本からはそこまで分からないけど...。読んだのは1年くらい前だが、すごく分かり易く会計の素人でも分かる内容だったから思い出してレビュー。
印象に残った部分の要約と感想を以下に.

■外資ファンドが狙う企業の貸借対象表
・日本でもファンドによる企業買収が進みつつある。
・銀行などからの借り入れの間接金融、株式や社債の発行による直接金融についで、第3のファイナンスと呼ばれる。
・スティールパートナーズ、はサッポロHDや明星食品をはじめ、ブルドックソースなどの株式を買い進めた。標的になるポイントは、①自己資本比率が高く、②ROEが低い会社。
・日本の伝統的な企業の多くは、土地による含み益がかなりある。自己資本比率が高く、安定したキャッシュフローを生んでいればなおさら欲しくなる。
・レバレッジとは、てこのことだが、ファイナンスの世界では、「負債」,「有利子負債」のことである。ROEを挙げるとは、ROAを高める。 財務レバレッジを高める。
ハゲタカファンドが日本の企業をかっさらっていたときのトピック。そもそも「ハゲタカ」なんて名前つけちゃうところがおかしいんだよね。資本の論理に従っているだけ。あと単にカルチャーが違うだけだよね。ROEの説明はとても分かり易かった。

■ファンドが儲ける仕組み
・借入金を用いて買収する。これをLBOという。買収された企業がLBOにおける借入れ金を返済することになる。アクティビストと呼ばれるファンドは、10%以上の株式を保有して、ある程度の発言権を持ち企業の配当増額を要求する。
・日清食品のように、ホワイトナイトとして登場し、スティールから高く買ってくれることになれば、ファンドとしてはうれしい。
・十分なパフォーマンスも果たせないまま、嫌な株主は除外して、上場を維持したいなどという身勝手な考え方はおかしい。
最後のフレーズはたしかにそうだな。日本ってとりあえず上場しとけば優良企業でひとつの称号みたいなところがあったらしいけど、最近はどんどんその意味がなくなってきている。

■参入しやすいが儲けがそれほど大きくない卸売業
・右から左や商品を流すのがビジネスの要。工場などの設備は必要としない。オフィスと小額の人件費で十分。参入障壁は低い。机と電話があればできる。売上高から販売商品の仕入れ額を差しいたものを粗利という。粗利率に基本的に低い。これらの業種は、固定費負担が少なく参入が比較的容易だが損益分岐点売上高が高くないのが特徴。
・設備投資型産業は,損益分岐点売上高が高く、また損益分岐点を超えた場合の利益率が高い。流通業は損益分岐点売上高が低くまた、損益分岐点を超えた場合の利益率も低い。
設備投資型産業と流通業の損益構造を固定費と変動費の観点から説明している。実に分かりやすい。

■固定費と変動費
鉄鋼業などは、装置産業であり、固定費が高く、変動費が小さい。卸売業などは、その逆で、固定費はそれほど大きくないにせよ、変動比率が小さい。
・航空機産業のビジネスのポイントは、「増し分増益」と「競争」。
航空機産業は、固定費型産業。会社全体で見れば、変動費型、一機ごとに見れば固定費型。固定費型産業だが、例えば、東京・大阪間一回飛行機を飛ばすとすれば、燃料費や着陸料は何人乗ろうと変わらない。変動費は、毛布や飲料水代程度。
・だからこそ、航空機産業では、まず損益分岐点まで乗客を確保すること。そうしなければ赤字になるから、そのための方法は以下の二つ。(1)普通の運賃で売上高の確保をする。(2)人数は増えるが、割引運賃で損益分岐点売上高を確保する。
・安い航空券がでるのは、「空気を運ぶより人をのせたほうがマシ」ではちょっと説明不足。
JR新幹線も同じ損益構造なのになぜ割引しないのか?
損益分岐点分析が具体的な事例をもとに理解できる。航空機産業とか運輸業とかって基本的に固定費型産業なんだ。だからいかに割りびいてでも人とか物を載せたほうが効率がいい.

■液晶テレビの価格がどんどん下がる理由
直接減価計算の考え方を用いる。
・この理由は、多額の設備投資と競争がポイント。
・設備投資額が販売価格に転嫁される。もちろん生産数量が価格に大きな影響を与える。
競争が競争を生み、生産過剰が供給過剰を引き起こし、余計に価格が下落することになる。いわゆる、合成の誤謬の状態。個別企業では、価格競争力を得るためにコスト削減が大切であり、そのためにできるだけ製品を大量に生産した方が償却負担の関係でコストを引いて製品価格が安くなる。
・世界メーカーが、その思惑で生産規模を拡大すると、供給過剰を生み、競争激化でさらに価格が下落する。その価格下落に対応するために、生産拡大でコスト削減を行う必要が生じる。まさに、悪循環。
個別企業の利益最大化と市場全体の効率性の間にジレンマが発生してしまっている。まさしく合成の誤謬。

■花王が気にしたのはWACC
WACC(加重平均調達コスト)は、負債と純資産の調達コスト。自己資本比率が高くなるほうが、WACCが高くなる。
ROAWACCよりも大きくなくてはならない。
・カネボウ化粧品は、産業再生機構の参加にあったあの混乱期でも安定して収益を上げていた。花王の傘下に入ればもっと収益が上がる。
・貸借対照表からみたカネボウは、ほとんど借入金で買収した理由である。つまり、借入金を増やすことにより金利負担は増えるが自己資本比率を大きく下げることにより、WACC自体が下がる。さらに、時間がたてば、資産が償却してしだいにROAは高まる。
敵対的買収の防衛策になる
(1)   思惑通り利益やROAが上昇すれば株価が上がり、時価総額が上がる。
(2)   カネボウの化粧品部門を取り込むことにより、企業規模が大きくなり結果的に時価総額を大き
くする。時価総額が大きくなると、防衛策になる。
ROEとかWACCとか会計を学びはじめてから最近知ったけどこうゆうツールを使って企業を切り裂いて分析するととてもおもしろい。


SCMについて
・大規模な消費材メーカーは、SCM(サプライチェーンマネジメント)を導入していることが多いと聞く。原材料、部品の生産、デザイン、加工な別々の会社でやっているプロセスをトータルで管理する
・例えば、アパレル業界ではエジプト綿をイタリアで染色しそれを中国の工場で縫製つくるといった具合。この場合大手商社が一括管理している場合が多い品質、在庫、物流、資金、それを支えるシステム管理、意思疎通など、様々な点でノウハウや考察が必要。
最後にSCMについての説明があったので。最近では物流管理が著しいらしくSCMは一つの重要キーワードになるだろう。

【まとめ&感想】
教科書のように1から体系立てて説明するより,こうやって最新のトピックごとに区切って最新のネタを使って説明するのも結構いい。この本は楽しめながら読めた。特に会計や財務の初学者にはもってこいの一冊だと思う。
こちらも必見。
「1秒!」で財務諸表を読む方法【実践編】