2010年12月19日日曜日

「成功のコンセプト」を読んで

成功のコンセプト (幻冬舎文庫)
成功のコンセプト (幻冬舎文庫)

就職活動において実際に楽天の説明会のに参加した経験もあったことから、就職活動時期に読んだ。すこし前の本だけど。 楽天創業者の三木谷さんが自分の起業前からのストーリーを書き下ろした本。
IT起業家というとものすごい野心家というイメージがあるが三木谷さんはそんなことない。それが、この本を読むと良くわかる。誠実というか、真摯でなんかすごいまじめ。だけどすごくかっこいい。だから、成功できた部分がかなり大きいのだろう。
2004年から2005年ぐらいまで、ライブドアの堀江さんとよく対比されることが多かったが、楽天はライブドアと違い、現在では成功の軌道に乗ったといえる。

印象に残ったのは以下の通り。

1997年楽天創業
1997年、インターネット上のショッピングモールは過去のものになろうとしていた。
NTT、NEC、富士通、三井物産などをはじめとする大企業が当時すでにインターネットのショッピングモールに乗り出していた。しかし、どの企業も成功とはほど遠い状況であった。
・HPも倒産寸前のデパートのような状況になっていた。すでに、日本人にはなじまないビジネスモデルだと烙印が押されていた。ホームページさえつくれば、店の売り上げがあがると信じていたからだ。成功のコンセプトはそこにあるのだ。

楽天はショッピングモールに足りない何かを見い出したのだ。それが成功へ鍵だったといえる。

■面白い仕事はない。仕事をおもしろくする人がいる
・楽天は、オフィスの掃除を自分たちで行うようにしている。これは、創業当時から続いているもので現在も変わっていない。大きな目標や夢を抱いていると、目の前の小さなことを見逃してしまう。だから必ず毎日掃除をする。足元の現実を必ず忘れないようにする。100億円の買収案件を抱えながら、目の前の椅子の脚もきれいに磨くこともおろそかにしない。
・仕事はいつも知わき踊るスリリングなものとは限らない。毎日毎日退屈な仕事をしなければいけないこともある。それを、会社や上司のせいにして、いい加減な仕事にしたら自分が損をする。
・興銀のはじめの職場は外国為替部。来る日も来る日も書類にひたすらハンコを押し続けるような部署だった。ルーティンジョブの典型例のような部署である。だが、一度もつまらないとは思わなかった。
・どうすればもっと効率よく、間違いなく作業ができるのか、どうすれば事務の女性たちが快適に仕事をできるのか、どうすれば楽しい職場になるのか、をいつも考えていた。きれいごとではなく、誰かにためになるという思いが無味乾燥な仕事でも楽しくやれる。一所懸命に取り組めば取り組むほど、職場のみんなは笑顔になっていく。書類のオペレーションがいかに重要であるか学ぶことができた。義務感だけでやっていたら面白いとは思えない。廊下の雑巾がけに、真の喜びを見いだせる人が本当のプロフェッショナル。

仕事を人生最大の遊びにできたことが三木谷さんにとっては最高だったのだろう。むしろ、おもしろくなくても、おもしろくするのだ!という哲学。なんか見ているこっちがおもしろくなってしまうそんな雰囲気をつくれたらいいのだろう。最近、「場の雰囲気」ってすごく大切だと感じる。

■既成事実が世の中を変える
・起業直前の間もない頃、慶応大学の大学院生が就職活動で自分を訪ねてきた。名前は、本城慎之介。彼は、興銀に入ることを熱烈に希望していた。高杉良の「小説 日本興業銀行」を読み、興銀に憧れたという。興銀は日本の産業を再生し、活性化すること役割だった。しかし、その役割を終えようとしていた。その学生にこう語りかけた。
・「銀行とか商社とか、大企業が日本を変えたり社会を作っていくという時代は終わった。これからはむしろ中小企業とか個人が既成事実を積みかさねて世の中を変える。その時点でその学生は就職活動をやめた。「既成事実が世の中を変える」という私のその言葉が彼の人生を変えた。こうして楽天は二人でスタートした。
みんなの就職活動日記は、本城氏が生みの親である。Windows95年が発売されて間もないころ、本城は自ら立ち上げたHPにて就職活動の日記を、インターネットを用いて公開していた。学生からの質問をベースにメ―リングリストにして配信していた。すでに、新聞や雑誌などで取り上げられていた。個人情報発信力を最大化できるインターネットの威力をすでに実践していたのだ。

この部分はとても印象的だ。特に自分が就職活動時期に読んだ本だったから余計本城さんが自分に重なって見えた。すごく、やる気を引き出してくれるいいシーンだ。

■コミュニケーションの潜在的欲求が成長のカギ
江戸時代から300年続いた京都の老舗であったとしても、今も元気に商売をしているところは毎年のようにチャレンジをしている。仮説・実行・検証・仕組化で行う。仮説にも良い仮説と悪い仮説がある。どうすれば良い仮説が立てられるか?それは、「そもそも論」を考えること。「そもそも何のためにその仕事をするのか?」を考えること。
・楽天のモールを始めた時、ユーザーとのコミュニケーションをするのはモール側の仕事となっていた。ここで、仮説を練り直した。「そもそもユーザーからの問い合わせや意見は何のためにあるのか?」と考えていた。それは、「商品を買って頂くユーザーに納得してもらうこと」。そうすると、ユーザーとコミュニケーションをとるのは出店する当事者であることが望ましい、という結論に至った。
・楽天市場は便利だから急速に発展したと思われている。実はそうではない。ユーザーと出店者を結びつけることに成功したから。デパートやスーパーでの買い物よりずっと人間的だったりする。

そもそも何のために?そもそも何がしたい?自問自答することの大切さを最近よく感じる。楽天はそれを突き詰めたからこそ今があるのだろう。

【まとめ&感想】
三木谷氏の経営哲学や人生論がよくわかる本だった。創業当時の話やショッピングモールを成功に導いたオペレーションなどおもしろい話が多かった。仕事中毒当事者意識「そもそも論」を用いた仮説検証の話元副社長本城慎之介との出会いや興銀の外国為替部での仕事観など三木谷さんの人生哲学が分かるいい話が多かった。
こちらも必見。
成功の法則92ヶ条

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