2010年12月7日火曜日

「プロ脳のつくり方」を読んで

プロ脳のつくり方
プロ脳のつくり方

ちょっと前の本ですが、興味を持って少し前に読んだのでレビュー。
元ライブドア証券の副社長として辣腕をふるった男の話。もともと外資コンサルや投資銀行というエリート街道を歩みながらも、その道を捨ててネットサーフィンでM&A担当者を募集していたITベンチャーに自ら望んで入社したという変わり者。買収劇が起こったのは2005年だからかれこれ5年前の話。
「既存大企業に入って決められた仕事をするより、まだなんだかわからない未熟な状態のベンチャーに入って暴れたほうがおもしろそう」と考えたらしい。

外資投資銀行とは言えど、手が作り上げた仕事を結局は上司の手柄となっていくことに物足りなさを感じていたようだ。(ヒルズ黙示録―検証・ライブドアより)

ライブドアのフジテレビ買収構想の際に当時のでは珍しかったMSCBを用いた資金調達手法を実践した。それが、この塩野誠の手腕だったと言われる。序盤は結構決まり切った話が多かったが、後半部の「交渉力の磨き方」「キャリアのつくり方」」実経験に基づいた豊富な経験談や思考・スキルが出てきておもしろかった。

印象に残った部分は以下の通り。

■交渉は礼に始まり礼に終わる
・年下に対して見下したような大きな態度を見せることは良くない
・交渉の過程で感情的になることや、あえて感情的な言動を使うことも得策なこともあるが、交渉の最初と最後には、必ず礼をつくすこと「あいつはハードネゴシエイターだけど礼儀のしっかりした人だ」言われるのを目指す。

非常に納得できる。交渉事は時に感情と感情がぶつかり合う実にハードなものだから、特に礼をつくすべきだ、という主張に重みを感じる。かつての自分の経験に基づいており、納得できる。

他人への厳しい決断について
・経営者は孤独だと言われる。社員に対して自分が良かれと思ってやったことが、大きな恨みを買うことがある。中小企業の経営者の方が特に多い。
・一番印象的な上司の言葉、「ビジネスの中では厳しいことを言わなければいけないけど、人としての付き合いはずっと続くから」。

交渉の現場において、苦渋の決断を迫られてきた経験がよく分かる。中小企業の経営者がどのようなポジションの人間なのか、決断への覚悟などよく理解できる。


■小さなコンセンサスを積み重ねる
・交渉で最初に捨てるべき先入感は、「相手は分かってくれる」というもの。小さなことを確認し、コンセンサスを取ることによって後戻りしないようにする。小さなことを言った言わないと争ったり交渉が後戻りすることはとても無駄である。
・確認の際には、「おっしゃったように」「ご存知のように」というフレーズが便利


人って案外忘れやすい生き物だから早めに情報を発信し、ひとつひとつ合意を得ながら交渉しなければならない。塩野さんは、人の特徴をよくつかんでいると感じた。

【まとめ&感想】
もともと、僕はスポットライトがあたっている人本人(社長とかリーダーとか首相とか)よりも、参謀的なポジションで活躍している人にとても興味を持つ傾向があるようだ。ライブドアで言えば、堀江さんとか宮内さんよりも、熊谷さんや塩野さんに興味を持った。
そうでなければ、塩野さんの本とかほとんど知らないだろう。当時大学1年生だった私が、ニッポン放送株のTOBの記者会見を見て、あの一番右にいるひとだれだろう?となりきっかけとなって、この本へつながった。
現在は元産業再生機構の冨山さんがいる経営共創基盤にいらっしゃるそうですが、今後の活躍を期待致します。
こちらもすべて読破しましたので、少しずつレビューしていきます。

ライブドア監査人の告白
虚構 堀江と私とライブドア
ヒルズ黙示録・最終章 (朝日新書)
ライブドアの世界一になるキャッシュフロー経営

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