2010年12月13日月曜日

「ざっくり分かるファイナンス」を読んで

ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)
ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)

来年からの就職先をにらんで、最近読む本も会計やファイナンス系の本が増えてきました。
石野雄一さんの本で、ちょっと前の本ですがアマゾンの評価が結構良かったので買ってさくっと読むことにした。理系出身の銀行員で簿記をはじめとしてなかなか企業財務の理解には苦労したようだ。MBAからの帰国後に日産でゴーンCEOのもとで、にキャッシュマネジメントに従事してファイナンスに開眼した。現在は、板倉雄一郎事務所にて、ファイナンスセミナー等を担当しているそうであり、一度お目にかかってみたいものである。
ところで、日産のV字回復って一時期賞賛されていたけど、今はどうなんだっけ?

さて、印象に残った部分は以下の通り。

■会計と財務
・会計(アカウンティング)と財務(ファイナンス)は、違いは両者の違いを明確に答えられる人は少ない。会計は利益を扱い、ファイナンスはキャッシュを扱う。ここでいう利益とは、「商品やサービスを作ったり売ったりする上でかかった費用を差し引いたもの」である。もっと
黒字倒産とは、利益は出ているのに会社が未回収であるときに起こる。そうして資金繰りに困ったあげくに・・・。企業活動によって生じるお金の流れのことをキャッシュフローという。そして、このお金の流れには入金と支払がある。これは会計上の利益とは異なり、実際にキャッシュが入金されたり支払が行われたりしたとき、認識される。この場合の認識とは、企業の預金の残高に反映されるということである。
・また、2番目の違いとして会計とファイナンスでは、時間軸が異なる。ファイナンスが重要視されるようになった理由は、まさにこの点にある。言い換えれば、経営者は常に「現在の投資」と「将来のリターン」のバランスをとる必要がある。投資亡くして、将来のリターンがないのは当たり前である。

■資金調達の方法
・基本的には、「有利子負債による調達」「株主資本による調達」がある。有利子負債を「デット」、株主資本を「エクイティ」、そして有利子負債で調達する場合は、「デット・ファイナンス」、株主資本で調達する場合は、「エクイティ・ファイナンス」という。
・そして、有利子負債は銀行借入と社債の二つに大きく分けられ、銀行借り入れを間接金融、社債と株主資本と合わせて直接金融という。
・投資家が金融機関に対して、投資をする。そして、投資された金融機関が企業に対して融資という形の投資をする

■無借金経営は債権者の発想
・株主には、企業の成長性を重視する。売上がどんどん上がっていくことを望む。一方で、債権者は企業の安定性を重視する。それゆえに、有利子負債を増やした方が、
それゆえに有利子負債を増やしたがらない。これも銀行員だったときには、借入が少なく業績好調な会社に「よその銀行から借りないでウチから借りてよ」なんてことをいつも言っていた。銀行員というものは、有利子負債、つまり借入がない企業、倒産しないであろう企業に貸したいと思っている
「あの会社は、無借金経営だからいい」などと言われるが、ここまで読んでいただけたら債権者の視点であることがよく分かる。


■負債の節税効果
有利子負債の節税効果というものがある。表面上は5%の金利で借り入れをしていても、実は支払金利自体が経費として計上できるので、税金(法人勢)がその分安くなる。だから、税引き後の実質金利は5%よりも下回ることになる。
・何もないところからお金は生み出されない。法人税の支払い額が利害関係者の間で配分を変えてしまったということ。両者の法人税の支払い額の差額であり、法人税の課税対象額から控除されていることが分かる。

■割引率にはWACCを使う
・事業価値をもとめる際に将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り引く、といいましたがその際に割引率に何を使えば良いのか?WACC(加重平均資本コスト)
の登場である。
WACCとは、負債コストと株主資本コストを加重平均したものだった。経営者にとってみれば、資金調達のコストであった。
ではなぜ、WACCで割り引くのか?
・たとえば、あなたが信頼している人に100万円貸すのであれば、1年後の返済額は102万円でもいいわけである。しかし、リスクがある人に貸すには、120万円、いや130万円くらいでしょうか?あなたのリスク認識が異なることから、期待収益率に違いが出てきたものである。
投資家の視点にたった場合の期待収益率は、経営者の視点にった場合にはWACCである。つまり、視点が違うだけで両者は全く同じものである。「少なくてものWACC以上の収益率で運用してくれよ」という投資家の願いが込められている。言い換えれば、投資家にとって運用して欲しい最低銀の収益率ということである。これが、企業が生み出す将来のキャッシュフローをWACCで割り引くことの本質的な意味である。
■運転資金によるマネメジント
・運転資金に関して、かつて日産自動車有利子負債をどんどん削減していたときにどんな手を使ったか?
・資産を事業に関連のある「コア資産」、事業に関連のない「ノンコア資産」に分けて後者を売却したことは、よく知られている。売掛債権を削減するために、売上債権を削減するために、売上代の回収期間をできるだけ短くするということにした。さらに、在庫(棚卸資産)をできるだけ減らすようにした。
在庫水準が高かったことに加えて、このようにクルマを売った代金の回収期間が長かったことが有利子負債の増大につながっていたのではないか、という反省のもとに日産の財務部は販売店の回収期間ランキングを毎月レポートしていた。言ってみれば、こうした地道な活動をすることによって、回収と支払とのギャップを埋めていき浮いた資金でもって有利子負債の返済を行っていた。

【まとめ&感想】
今回は、会計や財務のテクニカルな部分が多くてブログとしてはちょっとつまんない記事なってしまったかもしれない。でも、かゆいところに手が届くいい本だった。熟読して理解を深めたいものだ。関係ない人にはどうでもいい本かもしれない。
最後にこちらも注目!

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